【2025年版】老後どうする?賃貸と持ち家の“安心リスク差”を検証
退職後の住まいをどうするか――。
これは人生の後半戦で最も大きなテーマのひとつです。
「ローンを完済した持ち家で安心に暮らす」か、
「自由に住み替えができる賃貸で軽やかに暮らす」か。
いまの日本では、どちらにも“見えないリスク”があります。
この記事では、老後の生活費・住居リスク・資産形成の3つの観点から、
「賃貸 vs 持ち家」どちらが本当に安心なのかを整理します。
目次
老後の住まい、なぜ今から考える必要があるのか
総務省のデータによると、65歳以上の単身高齢者世帯は2025年に900万世帯を突破します。
そのうち、約4割が賃貸住宅に住んでいると推計されています。
しかし、年金収入の減少や高齢者単身化の進行により、
「家を借りられない」「家賃を払い続けられない」といった問題が急増。
また、持ち家でも安心とは限りません。
固定資産税や修繕費など、“住み続けるコスト”が想定以上にかかるのです。
賃貸の老後リスク――借りられない現実
高齢者が賃貸契約を結ぶ際、最も大きな壁になるのが「信用リスク」です。
| 課題 | 内容 |
| 入居審査のハードル | 年齢・収入・健康状態を理由に断られるケースが増加。 |
| 保証人問題 | 親族に頼れない人が増え、保証会社でも審査通過が困難に。 |
| 更新拒否のリスク | オーナー側が“高齢者対応”を敬遠し、更新時に退去を求めるケース。 |
| 施設入居との二重費用 | 将来、介護施設と賃貸を同時に契約してしまう“二重コスト”問題。 |
実際、東京都の調査では、高齢者の約3割が「入居を断られた経験がある」と回答しています。
つまり「老後に賃貸を借りる」という選択には、現実的な難易度が伴います。
持ち家の老後リスク――維持費という落とし穴
一方、持ち家派にも見逃せないリスクがあります。
老後は収入が減る中で、“固定費としての維持費”が重くのしかかります。
| 費用項目 | 平均額(年) | 内容 |
| 固定資産税 | 約10万円 | 評価額に応じて毎年支払いが発生。 |
| 修繕・リフォーム | 約20〜30万円 | 屋根・外壁・水回りなど、10〜15年周期で必須。 |
| 管理費・積立金(マンション) | 約12〜18万円 | 築年劣化で年々上昇傾向。 |
| 保険・防犯費用 | 約5万円 | 火災・地震保険+防犯強化費用など。 |
持ち家はローン完済後も年間40〜50万円の維持コストが発生する計算。
「住宅ローンを払い終えたらタダで住める」というのは誤解です。
老後の支出シミュレーション:20年間でどう違う?
仮に65歳から85歳まで、東京都内で暮らすケースを想定します。
| 項目 | 賃貸 | 持ち家(ローン完済済み) |
| 家賃または維持費 | 月8万円×12ヶ月×20年=1920万円 | 年45万円×20年=900万円 |
| 更新・修繕費 | 約150万円 | 約300万円 |
| 合計住居費 | 約2070万円 | 約1200万円 |
→ 持ち家の方が約870万円安い結果になります。
ただし、これは“ローン完済済み”を前提としたケース。
60代以降に購入した場合は、返済期間の延長や金利負担が逆転することもあります。
医療・介護と住まいの関係
老後の生活は、医療や介護との関係を避けて通れません。
- 賃貸の場合:病気・介護を理由に退去を求められる事例が増加。
- 持ち家の場合:在宅介護・リフォーム対応がしやすく、行政支援も受けやすい。
近年では、「自宅で最期まで暮らす」在宅医療モデルを選ぶ人が増えています。
バリアフリー化や介護リフォーム(100万円前後)を行えば、
安心して長く住み続けることが可能になります。
安心して暮らすための“住まい戦略”3パターン
パターン①:持ち家+リバースモーゲージ
自宅を担保に老後資金を借りる仕組み。
- メリット:住みながら資金を得られる
- デメリット:死亡後に売却が前提
固定収入が少ない世帯には有効な資金戦略です。
パターン②:賃貸+保証+貯蓄の三本柱
- 家賃保証会社+見守りサービスを利用
- 生活費を「年金+金融資産」で安定化
- 老後に借りやすい物件を50代のうちに確保しておくのがコツ
パターン③:持ち家+賃貸のハイブリッド
近年増えているのが、
「地方の持ち家+都市の賃貸」を組み合わせる二拠点生活。
- 医療や買い物が便利な都心部
- 生活費が安い地方の自宅
どちらの良さも活かせる“柔軟な老後設計”です。
まとめ:老後の安心は「住まい+お金+支援体制」で決まる
老後の住まいにおいて重要なのは、“どちらが得か”ではなく、“どちらなら安心して暮らせるか”。
その判断軸は次の3つです。
- 支出の固定化:持ち家なら固定費を可視化し、賃貸なら保証と貯蓄を確保。
- 住み替えの柔軟性:将来の健康・家族状況に合わせて柔軟に対応できるか。
- 地域の支援制度:高齢者見守り・家賃補助・介護サービスを調べておく。
どちらを選んでも、「今から備えること」こそ最大のリスク回避です。
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