タワーマンションでの生活って実際どうなの?メリットとデメリット解説
2021年以降に完成が予定されているタワーマンション(20階建て以上の超高層マンション)は、首都圏だけでも173棟計8万戸以上にのぼります。
現在建っているだけでも東京都内で450棟以上ものタワーマンションが存在します。
今や身近な存在となったタワーマンションですが、最大の魅力である眺望や充実した共用スペースのほかにも、リセールバリューに期待でき、大きな値崩れも少なく資産価値が高いことから、多少予算を上げてでも購入を検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、魅力がいっぱいのタワーマンションにも、少なからず気をつけるべきポイントもあります。今回は、タワーマンションのメリット・デメリットを計6項目にわたってご紹介します。
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目次
メリット1 眺望・日当たりがいい
まずはなんといっても、眺望と日当たりを十分に得ることができるのが超高層マンションの大きなメリットです。
基本的に、マンションの日当たりは、方角はもちろんですが、周囲の環境によって左右されるものです。
周辺の建物の高さや、隣接する建物までの距離によって日当たりの良し悪しが決まります。
タワーマンションの高層階のように、周りに日差しを遮るものがなければ、どんな立地であっても影は一切発生しません。
一方で、周囲にタワーマンションやオフィスビルなどが建っている物件の中間階など場合は、隣接する建物の方角をしっかりと確認しましょう。
南東側に建物が建っていれば朝方、南西側であれば夕方に、周囲の建物がつくる影に隠れてしまう可能性があります。ライフスタイルなどに合わせて検討してみると良いかもしれません。
注意が必要なのは、夏場の日差しです。特に南向き住戸の場合は、日が最も長くなる夏至ですと、東京の場合早朝から夕方まで14時間ほど日が出ています。
フローリングや家具などは、無垢の木や本革など質の高いものほど痛みが激しくなることもありますので、窓際などに設置する場合は注意が必要です。
また、掃き出し窓や、天井いっぱいまでの大きなはめ殺し窓などが多く設置されている部屋では、直接室内に入り込んでくる日差しだけではなく、蒸し暑い外気の熱を窓ガラスが吸収し、窓際の温度がとても高くなる熱放射という現象も起きます。
このような日射による室温の上昇は、高層階だから起きる現象ではなく、周りに遮るものがなく、窓が多い物件でおこります。
せっかくの眺望が、昼間はカーテンを締め切ったままといったことにもなりかねませんので、気になる方は、壁一面ガラスといった部屋を避けたり、窓ガラスが遮熱タイプの複層ガラス(ペアガラス)となっているか、遮熱フィルムが貼られているかなど確認してみると安心です。また、高層階の場合は、南向きを避け東向きや北向きの住戸などを検討してみるのも良いかと思います。
メリット2 共用スペースが充実している
続いてのメリットは、「共用スペース」です。タワマン物件を検討する上で、どれだけ共用スペースが充実しているかも大きなポイントとなるのではないでしょうか。
どれだけ共用スペースが充実しているかは、マンションの規模によることが多く、大規模マンションほどさまざまな設備が整った共用スペースを設けていることが多いと言えます。
現在では、さまざまな共用スペースや設備を持ったタワーマンションがありますが、パーティールームや共同キッチン、キッズスペースやオーナーラウンジ、フィットネスジムやプールや温浴施設まで備えたタワーマンションもあります。
ここではオススメの共用スペースをいくつかご紹介します。
ゲストルーム
まず1つ目は、「ゲストルーム」です。主に、親戚や友人などが泊まることのできるゲスト用の部屋です。
事前に予約することで利用が可能で、宿泊費は一般的なホテルの相場よりも安いことも多く、寝具やリネンなども準備する必要がないため非常に便利な施設です。
車椅子対応になっていることも多く、高齢のご親戚などが宿泊される際も安心です。
シアタールーム・防音室
2つ目は、「シアタールーム・防音室」です。防音仕様の部屋となっており、スクリーン設備や音響設備が整っており、皆で映画を見たりカラオケを楽しんだり、楽器の練習などができる部屋です。
他の住民への音を気にせず楽しめるので、週末などは予約がなかなか取れないこともあります。
また、利用時間などに制約がある物件もあります。
注意点として、もちろん床壁天井には防音材や遮音材が施されおり、扉も防音仕様となっていますので心配はいりませんが、気になる方は共用スペースの直上階の住戸は避けた方が良いかもしれません。
スタディルーム
3つ目は、「スタディルーム」です。
お子様の自習用、あるいは何か集中して作業したい時に役立つスペースです。
最近では、在宅勤務用にも使える個室ブースを備えている物件もあり、非常に実用的で使い勝手の良い共用スペースです。
トランクルーム
4つ目は「トランクルーム」です。これも非常に実用的で便利な施設です。
各住戸の玄関横にあるケースと、低層階にまとめて設置してあるケースがあります。
ゴルフバッグやスキー板などの大型の荷物やアウトドア用品などの汚れが気になる荷物など、住戸内に収納しにくいものの収納スペースとして活躍します。
以上のご紹介した共用スペース以外にも、マンションの外部空間、エントランス前のアプローチスペースなどもそのマンションの魅力の一つとなっていることもあります。
タワーマンションにも多く見られますが、マンションの足元に公開空地といわれる誰でも立ち入ることができる広場や歩道などを設けているケースがあります。
これは、総合設計制度あるいは優良建築物等整備事業といった補助金制度を利用し建設されたマンションに見られるもので、誰でも利用可能な広場や広い歩道などが整備されます。
周辺の開発がまだ済んでいない再開発エリアなどでは、植栽などが施された広場は、住環境を向上させ物件価値を高めてくれますし、広い歩道は、安全性の面からも安心できる共用スペースです。
メリット3 建物の性能が高い
続いてご紹介するのは、建物の性能についてです。
建築の構造の安定性、災害に対しての安全性、建物の維持管理のしやすさ、居住性や防犯性など、建物の性能といってもさまざまです。
ここでは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)に定められている住宅性能表示制度についてご紹介いたします。
住宅性能表示制度とは、住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、遮音性など)を誰でも簡単に確認し比較できるように、共通のルールを定めたものです。
例えば、「耐震等級2」「断熱性能等級4」「耐火等級3」といったように、誰でも簡単に住宅の性能を知ることができ、車や家電製品のスペック表のような役割を果たすものです。もちろん客観的に住宅の性能を評価するために、第三者機関による信頼性の高い評価がなされます。
国交省の調査によれば、2020年度の住宅性能表示制度の実施状況は、全ての新築住宅の27.8%に及びます。分譲マンションでは8割以上が実施しており、ことタワーマンションでは、データはありませんがほとんどの新築物件が、住宅性能表示制度を利用しているのではないでしょうか。
そして、住宅性能表示制度には、大きく分けて「設計住宅性能評価」と「建設住宅性能評価」の2種類があります。
設計住宅性能評価は、設計内容についての評価で、建設住宅性能評価は建設に対する評価になります。
ここで注目したいのは、「建設住宅性能評価」です。
これは、設計された通りの性能の住宅が確実に施工されているかどうかを第三者機関が検査し評価するというものです。
例えば、35階建てのタワーマンションでは、最低でも13回もの現場検査を行う必要があります。
階数が高ければ高いほど、第三者機関が現場に立ち入り施工状況を検査する回数が増えますので、建設住宅性能評価書の交付を受けるタワーマンションは、単に住宅の性能だけではなく、工事中も第三者機関が施工を担うゼネコンに対して目を光らせてチェックをしたマンションであるということが言えます。
メリット4 資産価値が落ちにくい
メリットの4つ目は、「資産価値が落ちにくい」という点です。
多くのタワーマンションは、駅近で中心市街地に近い利便性の高い立地に計画されているということが大きな要因ですが、低層部分に商業施設や医療系テナントが誘致されていたり、保育所が併設されていたりなど、徒歩圏内に生活の全てがそろう住環境の良さも人気の理由です。
たとえ建物そのものは、徐々に減価償却していき価値を落としていったとしても、マンションの立地や周囲の環境は、その高い資産価値が将来にわたって続いていきます。
また、メリット2:共用スペースの充実度や、メリット3でご紹介した建物そのものの安全性の高さも資産価値が落ちにくい理由の一つです。
タワーマンションの建設には、高い技術力とノウハウの蓄積が必要になります。
大手のディベロッパーやゼネコンが携わり建設されるタワーマンションは、安全性や信頼性、そしてブランド力と一般的なマンションより高いレベルにあり、これもマンションの立地や周囲環境といった要素と同様に、目減りすることのない資産価値として将来にわたり期待できる要因となっています。
デメリット1 強風の影響を受けやすい
魅力が多いタワーマンションですが、無視できないデメリットもあります。
エレベーターの待ち時間や災害時の水道や電気などのインフラの問題などは、さまざまなメディアでよく取り上げられますので、今回は、デメリットの一つである「強風」についてご紹介します。
一般的に、風の強さは高さに応じて強くなります。
また都心部ではビル風による影響もあり地上で感じる風速よりもタワーマンション上層階ではかなり強い風が吹いています。
風によるマンションの揺れや風切り音、窓を開けることができないなどの問題は覚悟しなければならないかもしれません。
少しでも風の影響を抑えたいという方は、物件選びの際、卓越風を意識してみると良いでしょう。
卓越風とは、地域それぞれの季節ごとの風向きの傾向のことで、東京であれば、冬は北北西、夏は南風が吹く傾向があることがわかります。
(東京の風配図 東京管区気象台HPより)
また、妻側住戸(建物の両端に位置する角住戸)などは剥離風と言われるビル風の影響が大きく、非常に強い風が吹く可能性があるため、避けるのも手かもしれません。
また、建物に当たった風が吹き下ろしてきたり、地上へ向かって逆流するビル風も発生しますので、低層階や地上部分でも注意が必要です。
低層部分がタワー部分より大きく基壇状になっていると、ビル風を受け止めて風の影響を低減してくれる効果が望めますので、マンション全体のデザインにも注目してみてください。
デメリット2 管理費・修繕積立金がかかる
2つ目に取り上げるデメリットは、「管理費・修繕積立金」です。
これはもちろんタワーマンションに限った話ではないのですが、共用スペースが充実したタワーマンションであればこそ問題になってくるデメリットです。
管理費や修繕積立金の増額は覚悟しておく必要があります。
修繕積立金については、建物が完成する前に作成される長期修繕計画によって、その当時の見立てや経験に基づく予想によって決まってきます。
あくまで予想なので、竣工から10年経って修繕が必要な箇所が多く発生した、予想より早く劣化が進んだ、施工費用や材料費や消費税が上がった、などということも多いのが実情です。
資金不足に陥った場合は、修繕費の追加徴収があることもありますので注意が必要です。
そして、免震構造や制振構造のタワーマンションの場合は、まだ登場から歴史が浅いこともあり、予想外の修繕費増のリスクを孕んでいる可能性も少なからずあります。
また、定期借地権付き物件の場合は、解体積立金もかかってきますので、物件検討時に、月々の支払額など事前にしっかりと確認が必要です。
まとめ
色々と話題になることの多いタワーマンションですが、もちろん今回取り上げきれなかった多くのメリットやデメリットもあります。
物件価格やランニングコストが一般のマンションよりも高い傾向のあるタワーマンションだからこそ、事前にしっかりと比較検討し、理想のライフスタイルに合うタワーマンションを見つけてみてはいかがでしょうか。
令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成