不動産投資の税金をわかりやすく解説|所得税・住民税・減価償却の基本【2025年版】
目次
はじめに:不動産投資で「税金」を理解することが成功の第一歩
不動産投資で利益を出しても、手元に残るお金は税金を引いた後の金額です。
税金の仕組みを知らないまま始めると、「思ったより利益が少なかった」と感じる人も多いのが現実です。
税金を理解することで、節税にもつながり、長期的に安定した運用ができます。
この記事では、初心者が知っておくべき3つの税金(所得税・住民税・減価償却)を中心に、仕組みと対策をわかりやすく解説します。
不動産投資でかかる主な税金の種類
不動産投資では、購入から運用、売却までの各段階でさまざまな税金がかかります。
まずは全体像を整理しましょう。
| タイミング | 税金の種類 | 内容 |
| 購入時 | 不動産取得税・登録免許税・印紙税 | 物件購入や登記にかかる一時的な税金 |
| 保有中 | 固定資産税・都市計画税 | 毎年かかる所有税 |
| 運用中 | 所得税・住民税 | 家賃収入に対して課される税金 |
| 売却時 | 譲渡所得税 | 売却益に対して課される税金 |
初心者が特に意識すべきなのは「所得税」「住民税」「減価償却」の3つです。
ここを押さえておくだけでも、運用の収支感覚が大きく変わります。
不動産所得の計算方法を理解しよう
不動産投資では、家賃収入から経費を引いた「所得」に対して税金がかかります。
その基本式がこちらです。
不動産所得 = 家賃収入 − 経費(管理費・修繕費・ローン利息など)
この所得に対して、所得税と住民税が課税されます。
給与所得がある人は、他の所得と合算して確定申告する必要があります。
経費として認められる主な項目
- 管理費・修繕積立金
- 固定資産税・火災保険料
- 仲介手数料・登記費用
- ローンの利息部分
- 減価償却費(建物の価値を年ごとに分けて経費化)
- 通信費・交通費(物件管理に関連する場合)
これらを正確に計上することで、課税される所得を減らし、結果として税金を抑えることができます。
所得税と住民税の仕組み
所得税と住民税は、どちらも「所得の大きさ」に応じて課税されます。
所得税の税率(2025年時点)
| 課税所得 | 税率 |
| 195万円以下 | 5% |
| 195万円〜330万円 | 10% |
| 330万円〜695万円 | 20% |
| 695万円〜900万円 | 23% |
| 900万円〜1,800万円 | 33% |
| 1,800万円超 | 40〜45% |
住民税
一律10%(都道府県・市区町村で合計)
たとえば、給与所得700万円・不動産所得100万円の場合、課税所得は合計800万円。
所得税23%+住民税10%=約33万円が税金としてかかる計算になります。
減価償却とは?節税の要になる考え方
建物は時間とともに価値が減っていくため、その減少分を毎年経費として計上できます。
これが「減価償却」です。
たとえば、建物価格が1,000万円、法定耐用年数が22年の場合、
1年あたりの減価償却費はおよそ45万円(1,000万 × 0.046)になります。
つまり、実際の支出がなくても、45万円分を経費にできるため、課税所得を下げることができます。
これが不動産投資が「節税になる」と言われる理由のひとつです。
建物の法定耐用年数(目安)
| 構造 | 耐用年数 | 償却率(概算) |
| 木造 | 22年 | 約0.046 |
| 軽量鉄骨造 | 27年 | 約0.038 |
| 鉄筋コンクリート造(RC) | 47年 | 約0.022 |
中古物件の場合は「残存耐用年数」を再計算して使います。
これにより、中古ほど減価償却が早く進み、節税効果が高くなる傾向があります。
節税を目的にしすぎると危険
「節税できる」と聞くと魅力的ですが、節税だけを目的に投資するのは危険です。
減価償却で赤字を作っても、キャッシュフローがマイナスになると意味がありません。
また、減価償却が終わった後は一気に所得が増え、翌年の税金が高くなる「節税の反動」も起きます。
長期で見て安定した黒字を維持できるよう、税金を“味方にする”視点が大切です。
確定申告の基本手順
不動産収入がある場合は、毎年2月中旬から3月中旬に確定申告を行います。
給与所得者でも、不動産所得が20万円を超えると申告が必要です。
確定申告の流れ
- 家賃収入と経費を整理
- 減価償却費を計算
- 所得税・住民税を算出
- 申告書を作成(e-Taxまたは税務署へ提出)
最近は「freee」や「マネーフォワードクラウド確定申告」などのクラウド会計ソフトで自動化も可能です。
レシートを撮影するだけで経費処理できるため、初心者でも簡単に確定申告ができます。
税金対策の具体例
税金を抑えるためには、次のような対策が有効です。
- 修繕費を年度内にまとめて実施する
- 家族を従業員として給与計上する(青色申告)
- 減価償却が進んだ物件を買い替える
- 住宅ローン控除や損益通算を活用する
とくに「青色申告」にすると、最大65万円の特別控除が受けられるため、長期運用を考えるなら必ず検討しましょう。
よくある勘違いと注意点
- 経費はすべて落とせるわけではない
→ 私的利用が混じるもの(自宅の光熱費など)は対象外 - 節税目的で赤字を出すと銀行融資に不利になる
→ 銀行は「安定して黒字を出す投資家」を評価する - 減価償却を過大に計上すると税務調査の対象になる
→ 根拠資料(建物評価明細など)を必ず保管する
税金対策は“攻め”よりも“整える”意識が重要です。
まとめ:税金を理解すれば不動産投資はもっと有利になる
不動産投資の利益を最大化するには、税金の仕組みを知ることが欠かせません。
節税とは「無駄な税金を払わず、正しく経費を使うこと」。
決して脱税や赤字狙いではありません。
もう一度ポイントを整理すると、
- 不動産所得は「家賃収入 − 経費 − 減価償却」で計算
- 所得税・住民税の税率構造を理解する
- 減価償却を正しく使って節税する
- 青色申告でさらに控除を活用する
税金は難しいように見えて、ルールを知れば味方になります。
毎年の確定申告を“投資の成績表”と考え、数字で自分の成長を見える化していきましょう。