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2022/12/19

J-REIT(上場不動産投資信託)って何?特徴や選び方

上場不動産投資信託J-REITの特徴や選び方

上場不動産投資信託J-REITをご存知でしょうか。
投資信託という名称が付きながら、一般的な投資信託とは異なり、株式市場に上場されていて、リアルアイムで売買が可能です。
不動産に投資して利益を出すことを目指す上場されている投資信託です。
ここでは、上場不動産投資信託J-REITの特徴や選び方をご紹介します。

※本ブログに掲載されている事項は、情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。
最終的な投資決定は、お客さまご自身の判断でなさるようにお願いいたします。

J-REITとは?

J-REITはJAPAN-Real Estate Investment Trustの頭文字を取って名付けられた、日本版の不動産投資信託のことです。
REITという金融商品の仕組みは、アメリカで生まれて日本に導入されました。
そこで、Jという頭文字を付け、日本の株式市場に上場する不動産投資のカテゴリになっています。
日本ではJ-REITとネーミングされたREITの仕組みは、不特定多数の投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションといった不動産を複数購入して運用し、賃料収入や売買益を投資家に分配する仕組みです。

運用の仕組み

J-REITは金融商品の一つの仕組み、総称ですので、その仕組みを使って資金を運用している上場不動産投資信託は複数あります。
各上場不動産投資法人が、目的や運用方針を定め、どのような不動産を対象にし、どのような運用成果を目指していくかを取り決めます。
地域や不動産の種類の分散、複数所有による分散でリスクを抑えながら運用するので、比較的安定的な成長が期待できる金融商品です。
投資をしている不動産から得られる賃料収入が利益の源泉になり、インカムゲインが主な収益源です。
もっとも、投資対象の入れ替えや市場価値が大きく値上がりした時などには売却してキャピタルゲインを得ることもあります。

J-REITは分配率が高い

J-REITでは法制度上、利益の90%超を分配すれば、投資家から資金を集めて運用を行っている上場不動産投資法人には法人税が課税されません。
そのため、利益のほとんどが投資家に分配されることになります。
配当をあまり行わずに内部留保するような企業の株式と比べて、分配金の高さが魅力です。

タコ足分配のリスクがない

分配金を出すタイミングは、各J-REITの決算のタイミングです。
多くのJ-REITが、中間決算も含めて年2回配当の時期を設けています。
投資信託の分配金には運用の成果の範囲内、つまり利益が出た時だけ、配当可能利益の範囲内で分配する方法と毎回必ず分配することを前提に、利益が出ていなくても分配を行うケースがあります。
後者は利益が出ていないのに資産を食いつぶして配当を行うことから、タコが自分の足を食べても活動を続けていることになぞらえ、タコ足分配と呼ばれているのです。
J-REITでは、配当可能利益の90%を超える分配金を払えば法人税が非課税になるので、通常は上場不動産投資法人が特典を得られないタコ足分配をすることはありません。
もし、利益が出ていないのにタコ足分配をするとなれば、運用していた不動産を売却して分配金をねん出しなくてはなりません。
安定的に多額の賃料収入を得る機会を失い、不動産も売り急ぐので、適正価格で売れないことも多く、不動産市場の低迷期であればキャピタルロスも発生します。
タコ足分配をすれば、こうした不利益を招くため、運用上はもとより、運用の成果を享受する投資家にとっても不利です。
タコ足分配のリスクがなく、配当可能利益の範囲で最大限の分配が得られるので、投資家にとっても安定した運用成果を享受できます。

J-REITの特徴とメリット

J-REITの特徴を投資家にもたらされるメリットの側面から見ていきましょう。

少額で不動産に投資できる

通常、不動産投資をするにはワンルームマンション一つでも数千万円、ビルやマンションを1棟買うとなれば、数億円から十数億円といった高額な資金が必要です。
J-REITはたくさんの投資家から集めた資金で、投資をしていく仕組みで、出資するために分割された証券を株式市場で買うことで投資ができます。
数万円から数十万円で、不動産に投資をしているのと類似の効果が得られます。

J-REITはプロが運用してくれる

不動産投資を自分で行おうとすれば、専門知識を勉強しなくてはなりません。
賃貸管理の手間やコストがかかり、初めてでうまく行かず、失敗するリスクもあります。
J-REITはプロが購入する不動産を選定し、運用してくれます。
不動産投資の知識があまりなくても、賃貸管理の手間をかけなくても資産を殖やすことが可能です。

複数の不動産に分散投資できる

J-REITは、多数の投資家から資金を集められるため、運用資金が大きくなります。
そのため、何棟ものビルやマンションなどを購入できます。
地域や特性などが異なる不動産に投資することで、リスク分散が可能です。
経済事情でテナントの空室が増えた商業施設があっても、生活の拠点として安定的に賃料収入が入るマンションが支えてくれることもあります。
また、特定の地域で大きな地震があり、万が一ビルが倒壊しても、ほかの地域のビルからの収入でカバーができます。
個人が不動産投資をする場合、資金的に複数所有によるリスク分散はなかなかできません。
J-REITを使うことで、複数の不動産へ投資をしているのと同じ効果が得られます。

不動産を購入するより換金性が高い

J-REITは証券取引所に上場されており、株式市場の開設時間中はリアルタイムの価格で売買できます。
成行注文や指値注文を行うことも可能です。
不動産を直接売買するとなれば手間も時間もかかります。
一般的な投資信託では、価格は一つしかなく、指値はできません。
J-REITは、投資信託より不動産売買より便利です。

どのJ-REITを選ぶのがおすすめか

J-REITの選び方としては、どのような不動産に投資しているか投資対象を確認し、その投資対象の特徴を理解して選ぶことがおすすめです。
J-REITが発行している資産運用報告には、選ぶ際に必要な多くの情報が記載されています。
たとえば、保有物件や分配金等の実績、投資法人の運用状況等の推移、今後の運用方針、借入状況などです。
新規の取得物件や保有物件の具体的な名称や写真が掲載されていることもあります。
中には知名度の高いオフィスビルやホテル、近くにある商業施設が入っていることもあり、興味も増します。

一般的には住宅が多いJ-REITはオフィスビルや商業施設に比べると利回りが低くなるが、景気に左右されにくい傾向です。
反対にオフィスビルや商業施設が多いものは、利回りが高くなるが、景気に左右されやすい傾向です。

オフィスビル

オフィスビルは比較的安定しており、特に都市圏内の設備が整った大規模オフィスビルは、上場企業や成長企業の入居率も高く手堅い対象です。
ただし、景気の影響やコロナ禍での倒産やテレワークへの意向でオフィスを縮小移転することや閉鎖する動きもあるので、動向をチェックしていくことは大切です。

商業施設

大型商業施設が多いですが、景気の影響は受けやすい物件となります。
特にコロナ禍で有名な商業施設でもテナントの撤退が多く、空きテナントが目立つ物件も増えています。

住宅

都心部を中心にした設備の整ったハイグレードな賃貸マンションなど、人気も高く、生活の拠点であることから、比較的中長期で入居するので安定的な物件です。
ただし、コロナ禍で地方移住の動きや、収入減でより安い物件へ住み替える動きもある点はチェックポイントです。

J-REITの値動き

J-REITは、株式市場で売買されています。
不動産市場の動向や今後の経済予想、投資している不動産の内容などを見て、買いたい人、売りたい人の需給関係で価格が決まります。
J-REITがどのような値動きの傾向を示しているかは、東証REIT指数の動きを見ることで傾向を掴むことが可能です。

東証REIT指数とは

東証REIT指数は、東証市場に上場するJ-REIT全銘柄を対象として算出される株価指数です。
用途別指数シリーズとして、東証REITオフィス指数、東証REIT住宅指数、東証REIT商業・物流等指数の3指数で構成されています。

ETFでバランスを取る

J-REITを選ぶのに迷った時、東証REIT指数連動型上場投信、いわゆるETFに投資する方法もあります。
東証REIT指数に採用されている銘柄または採用が決定された銘柄の不動産投資信託証券にのみ投資し、東証REIT指数に連動する投資成果を目指すインデックス型の投資信託です。

現在の指数動向(2022年3月時点)

2022年3月の東証REIT指数は2,003.04ポイント、前月末比+6.69%でした。
コロナ禍で落ち込んでいた2021年12月以来の2,000ポイント台を回復しています。
回復傾向が見られた背景には、コロナ対策のまん延防止等重点措置が全面解除されたことや日銀による指値オペの実施が投資家の買い安心感を誘ったことが挙げられます。
用途別では、オフィスが前月末比+5.87%、住宅が前月末比+7.80%、商業・物流等が前月末比+7.23%と、用途を問わず上昇しているのです。

オフィス賃料の動向(2022年2月時点)

J-REITの中でも投資対象が多いオフィスの空室率や賃料はどうだったでしょうか。
3月の指数にも影響を与えやすい、前月時点の空室率と賃料を見ていきましょう。
2022年2月の都心5区のオフィス空室率は前月比0.15%上昇となり、5ヶ月ぶりに前月を上回っています。
2月の坪あたり月額賃料は前年同月比5.74%減少しており、空室は増え、賃料が減少しているとなると不安になるかもしれません。
ただ、賃料の減少幅は2021年7月をピークに縮小傾向です。

参考PDF:J-REIT市場現状と今後の見通し(2022年4月号)-ニッセイアセットマネジメント

回復期の指数

まん延防止等重点措置が解除され、飲食店の営業時間の短縮要請もなくなりました。
一定の条件を満たした大規模イベントでは人数制限も撤廃され、海外からの観光客受け入れも始まるなど、徐々に経済が活性化していく方向です。
経済活動が活性化されることへの期待は、J-REITにおいても回復材料になり、指数上昇も期待できます。

コロナ後の指数

コロナ禍前の2019年、オフィスなどほとんどの用途で賃貸市場は盛況でした。
新型コロナウイルスの感染拡大で、2021年にはほとんどが悪化に転じました。
コロナ禍が完全に収束していない中で、東証REIT指数が2,000ポイントを回復できたのには、米国債利回りがコロナ禍前と比較して低い水準で推移していることが後押ししていると予想されています。
アメリカの金融政策が正常化し、米国債利回りが上昇すれば、J-REIT価格が下落し、東証REIT指数も下がることが考えられます。

参考:2022年J-REIT相場展望「下落リスクが高く、上値は限定的か」-マネクリ

まとめ

J-REIT(上場不動産投資信託)はオフィスビルや商業施設、マンションやホテル、物流施設などの不動産に投資し、賃料収入や売却益を分配するタイプの金融商品です。
株式市場に上場されてリアルタイムの価格で売買ができ、少額から不動産の分散投資ができるのがメリットです。

※本ブログに掲載されている事項は、情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。
最終的な投資決定は、お客さまご自身の判断でなさるようにお願いいたします。

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