不動産業界におけるSDGs
不動産も持続可能性が求められる時代!SDGsを達成するために必要なこととは?
最近、各業界がSDGsを念頭に置いた経営戦略を立てるようになってきました。
地球の資源は限られていますし、地球環境も依然として改善に向かっていません。
そんな中で不動産業界も持続可能な開発を行いながら発展していく必要があります。
今回は不動産業界が取り組むべきSDGsについて見ていきましょう。
※今回の記事は、一般的に言われている不動産業界におけるSDGsはどういったものがあるかをざっくりみてみましょうの企画です。弊社が目指すサステナブルな社会とは違う部分もあります。ご了承下さい。
目次
SDGsの項目の中に不動産業界が取り入れられるものはあるか?
SDGsは17の目標を立てています。
具体的には、どの目標が不動産業界がすでに取り組んできたものと関係性があtたり、目指しているものなのでしょうか。
まず、SDGsの11項目目には、「住み続けられる街づくりを」というものがあります。
人々が今暮らしている場所を安全に保とう、という目標はまさに不動産業界に課せられた使命とも言えるでしょう。
そのほか、3項目目の「すべての人に健康と福祉を」という目標も不動産業界が取り扱っているものと近そうです。
衣食住は人間の健康に欠かせない要素です。
このうち「住」こそが不動産の扱っている分野であり、いかにすべての人に住居を提供できるかが課題となってくるでしょう。
大枠としてはこの2つの項目こそ不動産業界の達成すべき目標と言えそうです。
見方によっては取り入れられる項目はたくさんある
ほかの項目が不動産業界が取り扱えない目標かというと、そうでもありません。
不動産業界とは一見関係のない目標でも、捉えようによっては十分取り組める目標となり得る可能性があります。
何より、これまで視野に入っていなかった仕事を取り扱えるようになれば、より大きな商機へとつなげていけるでしょう。
またそれ以外にも、先ほど取り上げた「すべての人に健康と福祉を」と「住み続けられる街づくりを」についても、捉え方を変えることで今までとは違った業界の在り方を作り上げることができるでしょう。
ここからは、具体的な事例を見ていきながら、どの部分がSDGsの目標達成につながっているかを考えていきます。
使えなくなった住居を作り替えることも持続可能性の追求
住宅街を歩いていると、手入れがなされていない住居を見かけることが増えてきました。
住む人がいなくなり、相続人もいなくなった、いわゆる「空き家」は全国各地に存在しています。
空き家をいかに効率良くなくしていくかというのは、課題と言えるでしょう。
そもそも空き家一つをとってみても、SDGsの目標をいくつか達成できる可能性をはらんでいます。
11項目目の「住み続けられる街づくりを」は、まさに空き家問題を解決することで達成できる目標です。
空き家の持ち主が決まることで住居が確保されるというのもさることながら、空き家がなくなることで街が安全になります。
空き家は手入れがされていないので朽ちていく一方です。
たとえば、2階のひさしがボロボロになって、道路に落ちていったら通行人や車に危険が及ぶでしょう。
そうした事態を防いでいけば、街の安全を保つことができるのです。
そのほか、12項目目の「つくる責任、つかう責任」というのも空き家問題を解決するうえで意識すべき達成目標でしょう。
そもそも住居を責任持って管理する意識さえあれば、空き家は生まれません。
今ある空き家をなくすだけでなく、これから空き家を増やさないという意識を持つことも大切でしょう。
空き家を有効活用することでSDGsの目標を達成できる
ここまでは、空き家をいかになくすかという観点から問題を考えてきました。
一方で、今残っている空き家を有効活用しながら利益につなげていったほうが良いのではないか、という意見もよく聞かれるところです。
たとえば、空き家をリフォームして宿泊施設にリニューアルするというのも活用案の一つでしょう。
この時、観光業界などと提携しながら空き家問題を解決できれば、17項目目の「パートナーシップで目標を達成しよう」を解決できます。
また、ここ数年は新型コロナウイルスの流行によって外国人観光客が激減していますが、終息さえすれば数字は回復していくでしょう。
来るべき外国人観光客に備えて、どの国の人でも使えるような施設にデザインしていく必要があります。
そうなれば、10項目目の「人や国の不平等をなくそう」が達成できるでしょう。
このように、一つの問題を幅広い観点から考えるだけで多くの目標が達成できることがわかります。
不動産業界の働き方を見直しながらSDGsを達成していく
SDGsは基本的に環境問題を軸にさまざまな目標を設定しています。
一方で、SDGsは労働問題に関してもいくつかの項目を立てていることも忘れてはいけません。
たとえば、8項目目の「働きがいも経済成長も」などはその最たる例と言えるでしょう。
不動産を経営するうえで利益を追求するのは当然ですが、一方で、労働者にやりがいを持って働いてもらうよう配慮することも必要です。
不動産業界はもともと離職率が高くない業界で知られています。
たとえば、2019年の離職率は15%でした。
離職率の多い飲食業や教育業に比べれば、労働者にとっては働きやすい業界と言えるでしょう。
とはいえ、金融業や製造業のような離職率の低い業界に比べると、まだまだ改善の余地は残されています。
特に不動産は営業に頼っている部分が多い業界です。
営業担当はいかに多くの物件を顧客に売るか、いかに良い値段で取引するかを追求しなくてはいけません。
ここに加えて、営業ノルマなどが積み重なっていくと、労働者の精神は疲弊していくでしょう。
さらに、不動産業界は休みがバラバラになりやすい業種でもあります。
不動産の内見に訪れる客はほとんどが休日を利用するでしょう。
となると、労働者は時に休日を返上して内見に対応しなくてはいけません。
このように、不動産業界は給与面などは問題ないものの、労働環境はともすると悪くなりがちな業種です。
これを改善しつつ、いかに労働者が働きやすい環境にできるかを追求する必要があるでしょう。
何より、離職者を少なくするに越したことはありません。
頻繁に人員が入れ替わり、その都度新入社員の採用を行う必要が生じれば手間は増えてしまいます。
そうではなく、今いる社員の実力を高めながら、長年同じ仕事に携われるような環境を作ることこそ、持続可能な業界を作っていくことにつながるのです。
女性の視点を取り入れた経営戦略を立てることも大切
SDGsでは5項目目に「ジェンダー平等を実現しよう」という目標を掲げています。
仕事の機会を男女平等に割り振ることは欠かせません。
では、不動産業界ではジェンダー平等を実現できていると言えるでしょうか。
2019年の調査によると、不動産業界の従業員のうち女性が占める割合は25.2%でした。
そのうち管理職の割合は12.9%と、全業界の中で2番目に高い数字を残しています。
このように、ジェンダー平等に力を入れている不動産業界ではありますが、まだまだ改善の余地は残っていると言わざるを得ません。
もちろん、ただ女性を管理職に就ければ良いというものではないでしょう。
女性を管理職に登用することで、どのようなメリットが生まれるかを加味しながら人事を決めていく必要があります。
具体的には、女性を管理職に置くことで女性目線の不動産経営を行えるようになるというメリットがあるでしょう。
たとえば、近年は一人暮らしの女性が増えてきました。
女性の社会進出が増えてきた中で、実家を離れて暮らしながら会社に勤めている人が増えてきているのです。
となれば、セキュリティ管理がしっかりしている部屋に住みたい、という女性心理を掴みながらマンションづくりを進められれば、利益を生むことができます。
ここで、女性が管理職に就いていれば、どういうマンションであれば安心して暮らせるかを考えながら建築を進めることができるでしょう。
このように、ジェンダー平等を実現しながら、同時に会社の利益を上げていくことは十分に可能です。
環境保全も不動産の役割
最後に考えたいのは環境問題です。
不動産業界と環境問題は切っても切り離せないところがあります。
何より15項目目の「陸の豊かさも守ろう」は不動産業界に突きつけられた課題とも言えるでしょう。
というのも、家を建てるうえでは大量の木材を用意しなくてはいけません。
そうなれば、山林において大量の伐採を行わなくてはいけないのですが、それに伴って森林環境も悪化していきます。
住居の建築を進めながら、一方で今ある森林をいかに減らさないか、というのは不動産業界において長年の課題なのです。
現在不動産業界では、複数の企業が植林や森林の管理に乗り出しています。
森林の面積を増やしながら、同時に今の環境を守ることに各企業が努力しているのです。
もちろん、森林を増やしていくだけでなくいかに無駄な建築を少なくするかも大事になってくるでしょう。
そのためには、新築だけでなくリフォームや中古住宅の有効活用なども推進していかなくてはいけません。
エネルギー問題も不動産業界が取り扱うべきテーマ
そのほか、7項目目の「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」も不動産が取り扱える目標です。
近年は太陽光発電を取り入れる家庭が増えてきました。
既存の住宅にパネルを取り付けるだけでなく、最初から太陽光発電パネルを取り付けた住宅を設計していけば、エネルギー問題を解決していけるでしょう。
また、ガスや灯油を使わず、オール電化住宅に変えていけば資源問題も解決できます。
まとめ
SDGs について、達成すべき目標と言われると、宿題を課されているようなネガティブな気分になってしまいます。
しかしながら、このような目標を意識すれば社会のためになるのはもちろん、新しい経営戦略の発想を得られる機会などと捉えてみてはどうでしょうか。また、SDGsを意識する前から、改めて考えるとそもそもSDGsとも言える事業を行ってきたということもあると思います。また、事業方針を無理にSDGsにリンクさせることは必要ないと思います。
ポジティブな考え方をしていくことで、地球環境を守ることと不動産業界を発展させていくことの両立が成されるでしょう。
令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成
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