この記事の要点

  • 不動産オーナー(大家さん)は、ビルを丸ごと持つお金持ちばかりではありません。国税庁の統計では、不動産所得を申告した人のうち約4割が、給与がいちばん大きな収入の人でした。
  • 国土交通省の調査(空き室のある家主が対象)では、持っている部屋が4戸以下の家主が約半数、ほかに仕事を持つ兼業の家主が約8割でした。
  • 管理は、管理会社に全部または一部を任せる家主が多数派です。それでも、修繕の判断や確定申告など、大家さんにしかできない仕事は残ります。

「お花の教室って、儲かるんですね」

株の値動きに疲れていた2024年の秋、蓮さんは友人の結婚パーティに出ました。会場はタワーマンションのラウンジです。幹事の楓さんによると、ラウンジを借りてくれたのは、楓さんのフラワーアレンジメントの先生でした。先生はこのマンションの自宅で、お花の教室を開いているのです。

新婦のブーケも先生の作品と聞いて、蓮さんは素直に「お花の教室って、儲かるんですね」。ところが、先生の本業は不動産オーナーでした。

4コマ目で蓮さんの頭に浮かんだのは、タワーマンション一棟。不動産オーナーと聞くと、そんな姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、実際の大家さんはどんな人たちなのでしょうか。

数字で見る:会社員で、部屋を貸している人

部屋を貸して家賃を受け取ると、その儲けは「不動産所得」として確定申告します。国税庁の「申告所得税標本調査」(令和6年分)では、申告して税金を納めた人のうち、不動産所得があった人は約180万人(179万7,183人)でした。

そのうち約71万人(70万7,420人)は、給与がいちばん大きな収入の人です。会社などから給料をもらいながら、部屋を貸している人たちで、不動産所得があった人の約4割にあたります(編集部の計算)。

この数字は、申告して納める税金があった人だけを数えたものです。税金が戻ってくる還付申告の人などは入っていないので、実際に部屋を貸している人は、もっと多いと考えられます。

数字で見る:大家さんは何戸持っている?

国土交通省が2014年度に行った調査では、持っている部屋の数は「1戸」が19.9%、「2〜4戸」が29.1%で、**4戸以下の家主が約半数(49.0%)**でした。同じ調査で、賃貸経営のほかに仕事を持つ「兼業」の家主は81.5%でした。

家主が持っている賃貸の部屋の数
  • 1戸 19.9%
  • 2〜4戸 29.1%
  • 5〜9戸 19.6%
  • 10〜29戸 23.3%
  • 30戸以上 8.1%

インターネット調査会社のモニターのうち、空き室を1部屋以上持つ家主643人への調査(2014年度)。家主全体から無作為に選んだ調査ではないので、目安として見てください。
出典:国土交通省住宅局「個人住宅の賃貸流通促進のための改修及び賃貸スキーム構築を目的とした事業調査業務 報告書」(平成27年3月)

総務省の「住宅・土地統計調査」(2023年)では、人が住んでいる民営の借家は約1,568万戸あります。その部屋の一つひとつに、貸している人がいます。大家さんの多くは、部屋を少しだけ持つ、ほかに仕事のある人たちなのです。

大家さんの仕事、実際は

部屋を貸すと、入居者を探して契約し、家賃を受け取り、困りごとに応え、退去のあとは部屋を直して、また次の人を探します。これを全部自分でする大家さんもいれば、管理会社に任せる大家さんもいます。

国土交通省の2019年の調査(家主へのインターネット調査)では、管理を「全部委託」が28.2%、「募集から契約までを委託し、それ以外も一部委託」が25.9%、「募集から契約までを委託し、それ以外は自分」が25.5%で、業者に任せず「自主管理」は18.5%でした。

大家さんの主な仕事(一般的な例)
  1. 入居者を探して、契約する

    家賃を決めて募集し、申込みのあと審査をして契約します。不動産会社に仲介を頼むのが一般的です。

  2. 家賃を受け取る

    毎月の入金を確かめます。遅れたときの連絡を、管理会社に任せることもできます。

  3. 住んでいるあいだの対応

    設備の故障や入居者からの相談に応えます。何を直すか、いくらかけるかを決めるのは大家さんです。

  4. 退去と、次の募集

    退去のあと部屋を直し、また入居者を探します。空いているあいだは、家賃が入りません。

  5. 確定申告をする

    家賃から経費を引いた不動産所得を申告します。会社員でも、給与以外の所得が年20万円を超えるなどの場合は、確定申告が必要です。

一般的な流れの例です。どこまで管理会社に任せるかは、大家さんによって違います。任せる範囲が広いほど、管理の手数料がかかります。

ラウンジは、誰が使えるの?

先生がパーティのために借りたのは、マンションのラウンジでした。分譲マンションのラウンジやパーティールームは、住んでいる人みんなで持つ「共用部分」です。使い方は、マンションごとの管理規約と「使用細則」で決まります。

国土交通省の「マンション標準管理規約」(各マンションが規約を作るときのひな形、令和7年改正)では、共用部分などは「通常の用法」に従って使うこととし(第13条)、使い方の細かいことは「別に使用細則を定める」としています(第18条)。予約のしかた、使える時間、住人以外の人を招けるか、使用料などは、マンションによって違います。

自宅で教室を開けるかどうかも、規約しだいです。標準管理規約は、自分の部屋(専有部分)を「専ら住宅として使用」するとしています(第12条)。教室のような使い方ができるかは、それぞれのマンションの規約や管理組合の判断によります。マンガの先生は、マンションの決まりの範囲で教室を開き、ラウンジを借りています。

注意したいこと

  • 数字は調べ方によって変わる:国税庁の数字は、申告して税金を納めた人だけを数えたものです。国土交通省の2つの調査は、インターネットのモニターへの調査で、家主全体を無作為に選んだものではありません。目安として見てください。
  • 大家さんは「家賃が入るだけ」ではない:空室のあいだは家賃が入らず、修繕や管理の費用もかかります。管理を任せても、決めること・払うことは残ります。
  • この記事は、不動産投資を勧めるものではありません:向き・不向きは、資産・収入・性格によって違います。

次の話へ

先生の本業は、不動産オーナー。驚いた蓮さんは、楓さんに連れられて、先生の部屋を訪ねることになります。そこで見せてもらったのは……?

出典

  • 国税庁「令和6年分 申告所得税標本調査」第2表(所得種類別表)調査ページ(確認日:2026-10-23)
  • 国土交通省住宅局「個人住宅の賃貸流通促進のための改修及び賃貸スキーム構築を目的とした事業調査業務 報告書」PDF(平成27年3月、p.97〜99、確認日:2026-10-23)
  • 国土交通省「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)」PDF(2019年12月18日公表、確認日:2026-10-23)
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果の概要」PDF(2024年9月25日公表、確認日:2026-10-23)
  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」タックスアンサー(確認日:2026-10-23)
  • 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント」PDF(令和7年10月17日改正、確認日:2026-10-23)