この記事の要点
- ハザードマップの色は、浸水などの想定の深さの目安です。色がついていても「住めない」という意味ではありません。何階に住むか、どこへ逃げるかと合わせて考えます。
- 環境省のガイドラインでは、「同行避難」はペットと一緒に避難所まで逃げる行動のことです。避難所で同じ部屋に過ごせるという意味ではありません。
- 部屋を決める前に、ハザードマップ、ペットを受け入れる避難所と道のり、預け先を確かめましょう。キャリーに慣らす、フードと水を5日分以上用意するなど、今日からできる備えもあります。
地図の色は「浸水の深さ」の目安
マンガの桜ちゃんは、気になる部屋のまわりのハザードマップを開いて、一面の青に驚きました。
ハザードマップは、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で調べられます。「重ねるハザードマップ」に住所を入れると、洪水・土砂災害・高潮・津波の想定を地図に重ねて見られます。2026年7月からは、指定避難所も同じ地図で確認できるようになりました。「わがまちハザードマップ」からは、市区町村が作ったハザードマップへ進めます。細かい情報は、市区町村のマップで確かめるよう案内されています。
色の意味は、国土交通省の「水害ハザードマップ作成の手引き」で決められています。浸水の深さを0.5m・3m・5m・10m・20mで区切り、深いほど濃い色で塗ります。手引きの標準は薄い黄色からピンク、紫へと濃くなる色で、市区町村はこれに似た色を使うこともできます。マンガのように青で塗る地図もあるので、凡例(色の説明)を必ず見ましょう。
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0.5m未満
いちばん浅い区分。ただし、0.5m以上の水の中は大人でも歩きにくいとされています。
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0.5〜3m
0.5mは、一般的な家の1階の床の高さに当たります。1階の部屋は床の上まで水が来るおそれがある想定です。
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3〜5m
3mは、2階の床の下に当たります。
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5m以上
5mは、一般的な家の2階が水につかる深さです。この先は10m・20mで区切ります。
国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月)3.4.1をもとにまとめました。洪水・内水・高潮・津波で同じ区切りを使います。
同じ色の中でも、2階以上の部屋なのか、近くに高い建物や避難所があるのかで、備え方は変わります。色がついていない場所も、リスクがないとは限りません。
部屋を借りるときは、不動産会社が重要事項説明で、ハザードマップ上の物件の位置を示すことになっています(宅地建物取引業法施行規則、2020年8月から。賃貸も対象)。ただ、説明があるのは契約の直前です。部屋を決める前に、自分で一度見ておくのが確実です。
「同行避難」と「同伴避難」は違う
桜ちゃんは、避難所の一覧に「ペット同行避難:可」とあるのを見て安心しました。でも、説明には「同じ場所で過ごせるとは限りません」。
環境省の「人とペットの災害対策ガイドライン」は、同行避難を「ペットと共に移動を伴う避難行動」とし、「避難所等において飼い主がペットを同室で飼養管理することを意味するものではない」としています。避難所でペットと過ごす状態は「同伴避難」と呼び分けていますが、こちらも同じ部屋とは限りません。
同行避難
一緒に逃げる「行動」
- 災害のとき、ペットを連れて避難所などまで避難すること
- 避難所で同じ部屋に過ごせるという意味ではない
同伴避難
避難所で飼う「状態」
- 避難所で、飼い主がペットの世話をしながら過ごすこと
- これも同じ部屋とは限らない。別の部屋・屋外・車の中など、避難所によって違う
環境省は2026年6月に、同伴避難を「同室」「別室」「屋外」「ペットのみ車中」に分けて書く改訂案を示し、意見を募集しました(この記事の時点で、確定した改訂版は確認できていません)。内閣府の避難所のガイドラインも、避難所ごとにペットのルールを決めておくよう求めています。
出典:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)
数字で見る:能登半島地震の避難所
実際の避難所ではどうだったのでしょうか。環境省は2024年の能登半島地震のあと、石川県の5市町の避難所119か所を回って、ペットの状況を調べました。同行避難があった避難所は56か所(48%)、調べた時点でペットと過ごしている人がいた避難所は27か所(23%)でした。同行避難があった避難所の半数ほどでは、ほかの避難者への気がねや、別の部屋やケージで飼えないことなどから、ペットを連れた人が避難所を出ていたと記録されています。
新しくペットを連れた人が来たとき、ペットを建物の中に入れる場所があるか聞くと、「ある」は15%でした。
2024年1〜2月に環境省が巡回した、石川県輪島市・珠洲市・志賀町・穴水町・能登町の避難所119か所(避難所の運営者への聞き取り)。全国の避難所の割合ではありません。
出典:環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」表3-1-6
ペットがいた避難所で、どこで飼われていたかを見ると、飼い主と同じ部屋が17か所あった一方、車の中が10か所、飼い主の家が5か所でした。同じ記録では、確認できた猫22頭のうち6頭が車の中にいました。
同じ巡回の記録。1つの避難所に複数の場所があれば重ねて数えています。
出典:環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」表1-2-5
避難所のペットの扱いは、場所や建物によって違います。「可」の一文だけで安心せず、どこで、どう過ごすことになるのかを、市区町村のホームページなどで確かめておきましょう。
部屋を決める前に確かめたい5つのこと
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ハザードマップ
見るところ:住所で洪水・土砂災害などを重ねて見る。凡例で色の深さを確かめ、部屋の階と比べる
気にしたいサイン:色を見て驚いただけで、凡例を見ていない
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ペットを受け入れる避難所
見るところ:近くの避難所がペットを受け入れるか。同じ部屋か、別の部屋や屋外か
気にしたいサイン:「同行避難可」の一文だけで安心している
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避難所までの道
見るところ:キャリーを持って歩く時間、水につかりにくい回り道があるか
気にしたいサイン:地図で場所を見ただけ
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預け先
見るところ:避難所で一緒に過ごせないときに預けられる親戚・友人。できれば複数
気にしたいサイン:預け先が1つもない
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留守中の災害
見るところ:仕事中に猫だけが家にいたらどうするか。近くに頼める人がいるか
気にしたいサイン:自分が家にいるときのことしか考えていない
環境省の<一般飼い主編>のガイドラインも、ハザードマップでの危険な場所の確認、ペットを受け入れる避難所、かかる時間と回り道、ペットと一緒に行けないときの避難先や預け先を、ふだんから確かめるよう挙げています。
猫と暮らすなら、今日からできる備え
ペットフード協会の調査(2025年)では、猫を飼っている世帯は約496万世帯(世帯の8.42%)です。部屋を探す前からできる備えもあります。
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キャリーに慣らす
猫の避難にキャリーやケージは欠かせません。ふだんから入るのを嫌がらないよう慣らしておきます。避難のときは、扉が開かないようテープなどで留めると安心です。
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フードと水を5日分以上
避難所にペット用の物資が届くまでには時間がかかることがあるため、少なくとも5日分(できれば7日分以上)。療法食や薬も同じくらい大切です。
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迷子札とマイクロチップ
首輪と迷子札をつけ、外れる首輪ならマイクロチップも。ペットショップやブリーダーから迎えた猫は装着済みで、飼い主は30日以内に自分の情報への変更登録が必要です。それ以外の猫への装着は努力義務です。
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室内で飼い、健康管理も
放し飼いだと、災害のときに行方不明になりやすいとされています。ワクチンや寄生虫の予防、ほかの人や動物に慣らしておくことも、避難所で過ごす助けになります。
環境省「人とペットの災害対策ガイドライン<一般飼い主編>」、動物愛護管理法 第39条の2・第39条の5・第39条の6、環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」をもとにまとめました。
次の話へ
ハザードマップと避難所を確かめた桜ちゃん。マンガの最後では、部屋を貸している蓮さんも自分の部屋の地図を見て固まっていました。災害の備えは、借りる人にも貸す人にも関わります。
出典
- 国土交通省・国土地理院「ハザードマップポータルサイト」Webページ(確認日:2026-10-14)
- 国土交通省「水害ハザードマップ作成の手引き」(令和8年5月)PDF(3.4.1、確認日:2026-10-14)
- 国土交通省「不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化」Webページ、「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」PDF(宅地建物取引業法施行規則 第16条の4の3、確認日:2026-10-14)
- 環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」(平成30年3月)PDF、「<一般飼い主編>」(平成30年9月)PDF(確認日:2026-10-14)
- 環境省「『人とペットの災害対策ガイドライン』の改訂案に係る意見の募集(パブリック・コメント)について」Webページ(確認日:2026-10-14)
- 環境省「令和6年能登半島地震における被災動物対応記録集」(令和7年9月)PDF(表1-2-1・表1-2-4・表1-2-5・表3-1-6、確認日:2026-10-14)
- 内閣府「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン」(令和6年12月)PDF(18.ペットへの対応、確認日:2026-10-14)
- 環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録について」Webページ、動物愛護管理法 e-Gov法令検索(確認日:2026-10-14)
- 一般社団法人ペットフード協会「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」PDF(p.22、確認日:2026-10-14)