この記事の要点

  • 賃貸の募集は日々入れ替わります。人気の部屋や引っ越しの多い時期は、ネットに載ってから短い期間で募集が終わることがあります。広告の情報が更新されるまでには、時間差もあります。
  • 問い合わせでは、最初に「この部屋はまだ募集中ですか」「内見できますか」を確かめましょう。聞きたいことはメモにしておき、優先順位を付けると話がスムーズです。
  • 「条件の近い別の部屋」を紹介されるのは、ふつうの応対です。紹介された部屋も、これまでと同じ目で条件を確かめて選べば大丈夫。ただし、契約を急がせる会社には注意しましょう。

問い合わせたら「もう終わりました」

マンガの桜ちゃんは、これまで調べてきた「気になる部屋」に、勇気を出して電話をかけました。ペット、初期費用、内見……と質問を重ねたところで、返ってきたのは「その物件、先ほど終わってしまいまして……」。

いまの部屋探しは、ネットから始まるのが当たり前です。国土交通省の調査では、民間の賃貸住宅に入居した世帯のうち、インターネットで住宅を探した人は62.5%で、不動産業者(42.4%)を上回りました。インターネットで問い合わせや内見の申し込みをした人も25.9%いました。

民間賃貸住宅を探した方法(複数回答)
  • インターネット 62.5%
  • 不動産業者 42.4%
  • 知人等の紹介 12.5%
  • 勤務先 5.1%
  • 住宅情報誌 4.1%

三大都市圏で2024年4月〜2025年3月に民間賃貸住宅へ入居した世帯(590世帯)への調査。
出典:国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」問5

ネットで見つけて、問い合わせて、内見に行く。その間にも、ほかの誰かが同じ部屋に申し込んでいるかもしれません。

数字で見る:募集の約4割は2週間以内に掲載が終わる

エステートテクノロジーズが、東京都で2025年10月〜2026年6月に始まった賃貸の募集を、同じ部屋の重複をまとめて調べたところ、掲載が始まってから2週間以内に掲載が終わった募集は42.0%でした。掲載された日数の中央値は19日です。

始まった月ごとに見ると、引っ越しの多い1月に始まった募集では51.7%と、半分以上が2週間以内に終わっていました。10月に始まった募集の37.9%と比べると、はっきり早くなっています。

掲載が始まってから2週間以内に終わった募集の割合(始まった月ごと、東京都)
  1. 37.9 10月
  2. 43.3 11月
  3. 45.4 12月
  4. 51.7 1月
  5. 51.4 2月
  6. 45.5 3月
  7. 43.6 4月

単位:%
2025年10月〜2026年4月に始まり、2026年9月中旬までに終わった募集(同じ部屋の重複をまとめた住戸単位)。掲載が1日以下の募集は、データの取りこぼしを含む可能性があるので除いています。掲載が終わった理由(契約が決まった、募集を取りやめた等)は分かりません。
出典:エステートテクノロジーズ調べ

家賃の帯でも違いがありました。東京23区では、家賃8万円未満の部屋は47.8%が2週間以内に終わったのに対し、20万円以上の部屋は26.6%でした。一人暮らし向けの手ごろな部屋ほど、早く終わる傾向です。

家賃の帯ごとの、2週間以内に掲載が終わった割合(東京23区)
  • 〜8万円 47.8%
  • 8〜12万円 47.1%
  • 12〜20万円 36.6%
  • 20万円〜 26.6%

2025年10月〜2026年6月に始まった募集。募集を始めたときの家賃で分けています。広さや場所の違いはならしていません。
出典:エステートテクノロジーズ調べ

ネットの情報には「更新の時差」がある

もう一つの理由が、情報の更新のタイミングです。不動産公正取引協議会連合会の「不動産広告の読み方・見方」は、賃貸住宅の広告には「情報公開日(又は直前の更新日)及び次回の更新予定日が表示されます」と説明しています。そして、取引が成立した場合には「次の更新日までに修正又は削除されます」。

つまり、募集が終わった部屋の情報が、次の更新日までは画面に残っていることがあります。同じ部屋が、いくつもの不動産会社のサイトに載っていることもあり、どこかで申し込みが入っても、すべての画面が同時に変わるわけではありません。

問い合わせの前と電話のときに確かめたいこと

不動産会社への問い合わせ、4つのステップ
  1. 広告の更新日を見る

    物件ページの「情報公開日」「次回の更新予定日」を確かめます。古い情報なら、募集が終わっている可能性も頭に入れておきます。

  2. 最初に「まだ募集中か」を聞く

    質問を並べる前に、「この部屋はまだ募集していますか」「内見できますか」を確かめます。ここで終わっていれば、ほかの質問は要りません。

  3. 聞きたいことを優先順位の順に

    ペットの条件、初期費用、契約期間など、メモの中で譲れないことから聞きます。電話で聞ききれなければ、メールで条件を送ってもらいます。

  4. 紹介された部屋も、同じ目で確かめる

    条件の近い部屋を紹介されたら、これまでと同じように条件欄・構造・築年・駅からの時間・ハザードマップを確かめてから決めます。

不動産公正取引協議会連合会「不動産広告の読み方・見方」をもとにまとめました。

  1. 募集の状況

    見るところ:まだ募集中か、内見できるか、申し込みは入っていないか

    気にしたいサイン:答えをはぐらかされる

  2. ペットの条件

    見るところ:猫を飼えるか、何匹までか、敷金の上乗せはあるか(第4話・第6話)

    気にしたいサイン:「たぶん大丈夫」で済ませる

  3. お金のこと

    見るところ:初期費用の内訳、契約期間(定期借家か)、更新料(第6話・第11話)

    気にしたいサイン:その場で決めるよう求められる

  4. 取引態様

    見るところ:広告の「仲介」「貸主」「代理」の表示。仲介なら仲介手数料がかかる

    気にしたいサイン:表示がない、説明が食い違う

  5. 内見の日程

    見るところ:いつ見られるか、鍵の手配に時間がかかるか

    気にしたいサイン:内見の前に申込金を求められる

「別の部屋を紹介します」はふつうのこと

マンガの3コマ目で、桜ちゃんの頭の中では、ていねいな案内が謎の不動産屋の声に変わってしまいました。でも、希望の部屋が終わっていたときに条件の近い別の部屋を紹介するのは、不動産会社のふつうの応対です。部屋探しを手伝うのが仕事なので、むしろ親切な提案のことも多いのです。

大事なのは、紹介された部屋に飛びつかず、自分の条件で確かめること。そして、次のようなときは慎重になりましょう。

紹介された部屋、ここを見れば安心

ふつうの応対

落ち着いて比べればいい

  • 希望の条件を聞いたうえで、近い部屋を提案してくれる
  • 条件や費用を書面やメールで出してくれる
  • 考える時間をくれる

気をつけたいサイン

その場で決めない

  • 「今日決めないとなくなる」と契約を急がせる
  • 内見の前に申込金を払うよう求める
  • 条件の説明があいまいで、質問に答えない

宅地建物取引業法施行規則は、契約を結ぶかどうかを判断するために必要な時間を、正当な理由なく与えないことや、申し込みを撤回したときに預り金の返還を拒むことを禁じています(第16条の11)。
出典:宅地建物取引業法施行規則 第16条の11、不動産公正取引協議会連合会「不動産広告の読み方・見方」

不動産公正取引協議会連合会の小冊子も、「契約を急がせる不動産会社は危険」とし、良心的な会社は「十分に検討する時間的余裕を与えてくれるはず」と書いています。困ったときは、消費者ホットライン「188」に相談できます。

次の話へ

電話を終えて、すっかり「不動産屋さんは怖い」と思い込んでしまった桜ちゃん。次の話では、気を取り直して、住みたい街の駅前へ足を運びます。並んだ不動産屋さんのウインドウには、物件の紙がずらり。そこで桜ちゃんが見つけたものとは?

出典

  • 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査 報告書」2026年7月 PDF(問4・問5、PDF p301〜302、確認日:2026-10-17)
  • 不動産公正取引協議会連合会「不動産広告の読み方・見方」PDF(PDF p6・p9・p21〜22、確認日:2026-10-17)
  • 宅地建物取引業法施行規則 第16条の11 e-Gov法令検索(確認日:2026-10-17)
  • 国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」2026年2月17日 Webページ(消費者ホットライン188、確認日:2026-10-17)
  • エステートテクノロジーズ調べ:東京都の賃貸の募集情報(2025年10月〜2026年6月に始まった募集、同じ部屋の重複をまとめた住戸単位)。掲載の情報で、契約の情報ではありません。